Hyggeligt

見て聴いて読んで描くよ

サイダーハウス・ルール

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壮大なオチは書いてませんが、ストーリーをなぞってしまってるので見てない方は御注意

孤児院で育った主人公が、外の世界を知って成長していく物語。
主人公がとても純粋なのですが危なっかしいぐらいの純粋さ。
そこ!ぜったい恋に落ちてしまうよ、行くな!行くな!・・・ほらーやっぱり!押すな押すな熱湯風呂ぐらいのお決まりコースです。恋愛風呂にドボーンです。
純粋さは恋だけにとどまらず、周囲誰一人文字が読めない中で自分だけ教養があるという事がわかったときも、全く威張らないんですね。素直に本を朗読してあげるし、壁に書いてある文字も読んであげる。わたしだったら「俺は読めるぜ~~~!すごいだろう」ぐらい言ってしまいそう。
やさしく、たのもしく、素直に育った主人公。
ずっと「自分は医者じゃない」と言い続けて、おじいちゃん先生から医者かばんが送られてきたときも
中身をみんなには見せずにベッドの下に隠すし
リンゴのボスが怪我をして娘がその傷を縫ってる時も絶対手出しはしなかったのですが
医者が必要なのっぴきならない状況の中で、「僕は医者だ、役に立ちたい」と勇気を出すシーンは、かなりぐっときました。おおお、とうとう言いやがった!がんばった!
一歩づつ成長していく青年の姿は、だんだんたくましくなって、最後故郷に帰ります。ついでに振られます。
自分たちを縛り付ける規則の中には、実は意味のないもの、重要だけど破ってしまうもの、これだけは守りたいものがあって、たくさんのルールにかこまれて生きているのだと故郷への列車のシーンで、タイトルに込められた意味に近づけた気がします。

孤児院のおませ女子がひっそりと主人公に恋心を抱いていて、会う前に大急ぎで身だしなみを整えたり、嬉しくて嬉しくてたまらないのに、クールな態度をとってしまう。大層じれったいです。おまえー!そいつ今フリーだから、失恋直後のチャンスだからもっと直球で行け!その仕草じゃ伝わらないよ!って言いたい。ぜんぜん気づく気配のない主人公だし鈍感ぽいし、こっちの恋ちゃんと実ってくれ。
あと音楽が素晴らしい。主人公ピアノが凛と立って、周囲の弦がそれを支えているのは、物語と通じるのですね。

 


*** THE CIDER HOUSE RULES *** SOUNDTRACKS ...